専任技術者になれる人がどういう人かわからない。
もしも専任技術者として認められる人がうちにいない場合はどうしたら許可がとれるのか。
専任技術者になった場合、やらなきゃいけない仕事や義務があるのかが知りたい。
このような疑問にお答えします!
専任技術者になるために必要な3+1のこと
専任技術者になるためには、
- 資格を持っていること(資格の種類は別の記事にて紹介予定)
- 学歴+対応した年数の実務経験があること
- 10年以上の実務経験があること
- その他
の4つに分けてチェックすればOKです。
新規許可申請における王道3パターン
通常ご依頼頂く内容では、太字で書かれた3種類以外に出会うことはほぼありません。
そのため、この3つに該当しない内容で申請を行なう場合はじっくり条文や手引きを見たり、建設業の許可相談窓口で入念に相談するなど、通常と違う準備が必要です。
この王道3パターンのうち、一番準備が大変なのは10年以上の実務経験で申請をするケースです。
まずはご自身の会社の専任技術者にしたい人が、この3パターンのいずれかに該当するかどうか、しっかりチェックしておきましょう。
条件が整ったら次は証明!ここが1番大変!
どういう人が専任技術者になれるか分かったので、次は申請したい人が本当にその条件に該当しているということをお役所に証明しなければなりません。
資格による証明であれば、欲しい許可業種が保有している資格とマッチしていれば、その資格証の写しを添付するだけなので非常に簡単です。
一方、実務経験によって証明する場合は、実際に担当した工事を洗い出したり、当時その工事を行なっていた会社等から、「この方は、本当にこの工事を担当していましたよ。」という証明をもらったりしなければなりませんので、格段に手間がかかります。
学歴とのコンボであれば証明年数がかなり減りますが、十年分の証明となると、十年前に勤めていた会社が既に無くなっていたり、円満退職でなかったために証明書を出してもらえなかったりと、自分の努力だけではどうしようもない要素が絡まってきて、より一層申請を難しくしている実情があります。
証明の方法 | 必要なモノ |
資格による証明 | 資格者証 |
実務経験による証明 | 実際に従事した工事の資料 証明者の印鑑証明 (学歴+実務経験の場合) 上記に加え、卒業証書等学歴を証明するもの |
建設業の許可がほしいのであれば、「うちの会社には十分な知識と経験を備えた人がいるから、工事を任せても安心ですよ。」という客観的な安心材料を提示してくださいねということです。
建設業許可の人的条件には、専任技術者の配置以外にも経営業務の管理責任者という者の配置も求められています。
経営管理責任者についての詳細はコチラ→ 『経営業務の管理責任者についてのキホン』
経営業務の管理責任者は、主に永続的に健全経営を行なう(倒産を防ぐ)目的なので、経営関するに知識と経験を求めており、工事の技術レベルを担保する専任技術者と一対となって許可業者の健全さを担保するという構成になっています。
経験があるのに証明が得られない最悪のパターン
毎日現場でお仕事をしながら資格を取得するのはとても大変ですから、なんとか実務経験によって証明をしたいところですが、昔の職場と折り合いが悪く、証明書類が貰えないなどうまく行かないことも少なくはありません。
許可を取りたいというこのタイミングになって初めて知り、「当時からこのことを知っていれば…。」と非常に悔やまれる方もしばしばいらっしゃいます。
今は予定がなくても、取引先から急に許可取得を求められるケースはよくありますので、この記事をご覧の方はまだ許可を取得していない仲の良い同業者さんが居たらぜひ、円満退職しなきゃダメだよ!と教えてあげてくださいね。
改めてお伝えしますが、資格による証明より実務経験の証明は格段に手間がかかります。
こうなると、実務経験の証明のところで嘘をつきたくなるのもわかるのですが、それこそバレてしまえば、当然処分を受けるので、許可がなかったときよりも状況は悪くなってしまいます。
参考:虚偽申請の罰則
- 6月以下の懲役又は100万円以下の罰金。(※併科される場合もアリ)
- 許可取り消し+取り消しの日から5年経過するまで再取得NG
専任技術者は今いるメンバーから選ぶ必要はなく、新たに雇用した方にその職務に就いてもらうことが出来ますので、しっかり準備して健全なルートを選びましょう!
もちろん雇用の場合はその方が辞めてしまったときのことを想定して、リスクヘッジのために更なる準備をしておく必要があります。
代表者様ご自身を含めた退職リスクの少ない役員の方等が経営管理責任者や専任技術者の要件を満たしていけるように並行して進めておきましょう。
専任技術者になるだけじゃダメ!これだけは知っておきたい就任後のルール
専任技術者は就任を目指すことだけでなくその特性や就任後の職務についてしっかり理解しておかなければなりません。
これらを理解していなかったために落とし穴にはまってしまったというケースも残念ながら実際に耳にすることがありますので、大変なことになる前に今ここで勉強しておきましょう。
ハマる人多数、急に現れる大きな2つの落とし穴
落とし穴のパターンは大きく分けて2つです。
それぞれ共通のポイントは「専任」という文字に隠されています。
センニン技術者のセンニンは選んで任せるの「選任」ではなく、もっぱら任せる、の「専任」なんですね。
これが何を意味するかというと、兼務できるものに制限があるということです。
落とし穴その① その他の業法
まずひとつ目の落とし穴ですが、「専任の宅地建物取引士」や「管理建築士」など、建設業法以外の業法で「専任」を求められるものについては、同一会社、同一営業所内であれば兼務は可能ですが、関連会社であっても別法人であったり、違う営業所の場合は兼務できません。
この2例以外にもそれぞれの業法において専任や常駐が求められているものについては兼務することができません。
建設業もやっているが他の事業も営んでいるという方は、全ての事業においてそれぞれ干渉していないか注意が必要です。
落とし穴その② 主任技術者?そんなの聞いてないよ!
そして2つ目ですが、これは後から発覚するタチの悪い落とし穴です。
建設業許可事業者となった場合、それぞれの工事現場に「主任技術者」という専任技術者と同等の条件をクリアした者を配置しなければいけません。
主任技術者は基本的に現場を監督する役目を負っていますから、営業所に常駐している訳にはいきません。
感のいい方はもうお気づきでしょうが、主任技術者は原則、専任技術者とは兼務できないということになってしまうんです。
ちなみに、経営業務の管理責任者と専任技術者はどちらも営業所に専任常駐ですので、問題なく兼務可能ですのでご安心ください。
こういった性質から、専任性のバッティング問題は後になってから発覚することも少なくなく、行政書士でも見落としていて冷や汗をかいた、という話を聞いたことがあります。
またこれ以外にも、業法上の専任性だけでなく、2つの会社の代表取締役になっている場合なんかも珍しくないですが、その方が片方の会社で経営管理責任者や専任技術者となっている場合、もう一方の会社では「非常勤の代表取締役」という扱いになります。
保険加入状況によって常勤性を証明しますので、申請会社に常勤している以上は他の会社は非常勤になる、そのため、保険加入も建設業申請会社で行なうことが必須となります。
建設業のこと以外は関係ないと思って他にも会社をやってることを行政書士に伝えていなかったことによって許可要件が満たされていなかったり、最悪どこかの項目が違法状態になっていた、なんてことのないように気を付けておいてください。
おさらい | |
所属先と役職 | 可 否 |
A営業所の専任技術者とA営業所の経営業務の管理責任者 | ○ |
A営業所の専任技術者とB営業所の管理建築士 | × |
A営業所の専任技術者とA営業所の管理建築士 | ○ |
株式会社Xで代表取締役兼専任技術者と株式会社Yで代表取締役兼専任技術者 | × |
専任技術者と各現場の主任技術者 | Ask |
資格者の兼務不可はまだしも、主任技術者と専任技術者が兼務不可能なんて無理無理!という会社は多いと思います。
わたしも、建設業許可について学び始めたころ、同じように途方に暮れた記憶があります。
実際のとこと、許可時に主任技術者のことについて知らない方も少なくなく、大阪の許可行政では柔軟に対応しておられるように見えます。
この辺りを詳しく、知っておきたい方は個別に相談に乗りますのでご連絡くださいね。
この通り、専任技術者は就任を目指すことだけでなくその特性や就任後の職務についてしっかり理解しておくことがとても重要です。
さいごに
こんなこまごましたルールを記憶して、現場のコントロールなんか無理!という方はぜひご相談くださいね。
許可の取得サポートはもちろん、許可後の主任技術者問題から、トータルでサポートします。